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| 濃縮したCO2の拡散を防ぐため物理的な障壁(スベリン層、フェノール物質の重合体でワックス中に沈着している)が維管束鞘細胞の細胞壁に存在し(NADP-MEとPCK型のみ)、CO2が葉肉細胞への戻る拡散を防いでいます。その結果、維管束鞘細胞のCO2濃度は大気の4.5(Dai et al.1993)〜18倍(Jenkins et al. 1989)のレベルに保たれています。→このため、光呼吸は低く抑えられ、気孔をめいっぱい開けなくても光合成速度を高くできます。C4植物のサブタイプによっても葉の構造が異なります。詳しく知りたい方は、Databaseをご覧ください。 |
C4植物の量子収率は、C3植物より高いここでの量子収率は、吸収した光強度に対する取り込んだCO2(あるいは放出したO2)の割合を指します。1970、1980年代に出てくる量子収率はほとんどこの量子収率と思ってよいと思います。光呼吸を抑制した条件ではC3植物の量子収率はほとんど一定であること(0.1〜0.11)が知られています(Bjorkman and Demmig 1987)。これに対してC4植物はサブタイプと単子葉か双子葉かによって変異があります。NADP-ME型の植物は同じ分類のNAD-ME型の植物より量子収率が高く、同じサブタイプ内ではイネ科(右図、濃色)のほうが双子葉(右図、淡色)よりも量子収率が高いことがわかっています(Ehleringer and Pearcy 1983)。サブタイプの量子収量の大きな変異が生じる原因ををはっきりさせることはなかなか難しいようです。NADP-ME型とNAD-ME型の植物はPEP(PEPの働きなどは「3つのサブタイプ」を参照)を再生するためにCO2固定あたり2ATPが必要となります(当然その分の光量子が必要)。また、維管束鞘細胞の外に漏れ出したCO2を補うためのポンプを動かす(overcycling)ためのATPも必要です。 PCK型では1ATPと0.5NADPHが必要とされます(Hatch1987)。overcycingがなければ、CO2濃縮回路のために必要なエネルギーにおいて脱炭酸回路の違いはほとんどないはずです。しかし、BSCを囲む細胞壁にはC4酸の輸送のためたくさんの原形質連絡(plasmodesmata)が必要であり、BSCからのCO2の漏れは避けられません(Hatch1987)(←しかし、「光合成」朝倉書店にはCO2に対する機密性を保持したままで有機酸の移動が行われるようになっていると記述がある)。Farquhar(1983)によるとNAD-ME型とPCK型では維管束鞘細胞にPS2が存在し、酸素発生があるので(外に出て行くその酸素の流れがあるはずだから)NADP-ME型に比べ、維管束鞘細胞の細胞壁はガスの透過率が高いはずだそうです。とにかく、C4サブタイプの量子収率の違いは維管束鞘からのCO2の漏れに種間の変異があることを反映しているとされ、この仮説はFarquhar(1983)やFurbankら(1990)によって詳細に議論されています。しかし、Hatchら(1995)が新しいpulse-chase technique を使って漏れ速度を直接測定したところ、CO2の漏れにはスベリン層があるなどの維管束鞘細胞の細胞壁の特性は関係なく、サブタイプ間の量子収率の差異も説明できないそうです。もう一つの可能性として、光吸収効率やBSCとMCの間の光量子の分配の変異によるものではないかとう意見もあります。この説の根拠としては単子葉類にくらべ双子葉類の維管束の配置が最適ではない→だから双子葉の量子収率が低いのではないかという考えがあるため。これはとても興味をそそられる可能性ですが、これからの検証実験を待つしかありません。私個人の意見としては、C4サブタイプ間のBSC内の光呼吸速度の違いのためであると考えてみたいのですが・・・。
C3植物とC4植物の識別法の一つとして、植物体を構成している炭素成分中の安定同位元素(13C)の含量から判定する方法が知られている。大気CO2中には約1%の割合で13Cを含む分子量45の重いCO2(通常は分子量44)が含まれているが、C3植物の炭酸固定酵素RubiscoはCO2‐酵素複合体を生成する際に分子量44のCO2を選択する傾向がある。その結果、C3植物体構成炭素中の13C比率は大気組成より若干低くなり、精密な質量分析計によりこの差を検出することができる。一方、C4植物の炭酸固定酵素PEPcは13C分別作用を示さないのでC4植物体中の13C含量はC3植物に対して大気中(-8〜-7‰)に近くなる。左図はSmith
and Brown (1973)からです。δ13C(%)は次の式で計算される。
δ13C=([(試料中の13C/12C)/(標準化石中の13C/12C)]‐1)*1000
δ13C値で表すとC3植物は-35〜-24‰で、C4植物では-17〜-11‰に分布する。さらにδ13CはC4サブタイプ間において有意な差異があり、ナミビア(南アフリカ)において調査したSchulze
et
al.(1996)の論文ではNADP-ME型で-11.7‰、PCK型で-12.5‰、NAD-ME型で-13.4‰であった。Hattersley(1982)やOhsugi
et
al.(1988)のデータも同程度である。著者らはこのサブタイプ間の差異は(濃縮したCO2の維管束鞘からの)漏れと気孔開度の差異から生じているのではないかと推測している。
気孔開度とδ13Cが関係している手がかりはC3植物で確かめられており、水ストレスをかけた植物体や乾燥地帯の植物では約-20‰の値が得られる(Eleringer
1993)。逆にδ13Cの値から水ストレス時の光合成の状態などがわかるのでしょうかねえ(独り言)。
また、この方法は試料約3mg(乾燥重)で測定可能なので未知試料の代謝型の判定には最も有効な方法とされる。実際、クランツ構造をもたないC4植物の最初の発見はこの方法によっていた(Freitag
and Stichler
2000)。最近ではδ13C値は食品加工の工程を経ても維持される場合が多いので加工食品中の炭素成分がC3由来かC4由来かを判定する場合に用いられる。例えば砂糖はサトウダイコン(C3)由来かサトウキビ(C4)が作ったものかを判定できる。